早いもので、8月もお盆の時期になりました。
あるご家庭では、今年祖父が亡くなったため初盆を迎えますが、とても心配なことがあります。
それは、相続財産の分割でもめるのではないかという事です。
祖父の財産は市内の自宅と、田舎のほうに山や畑が複数あります。
法定相続人は4人です。
数年前までは、自宅も仏壇も畑も次男(長男はすでに逝去しており一人娘の為)が跡を継ぎ、将来はさらにその長男が継いで守っていくという話が何度も出ていたので、みんな暗黙の了解状態でした。
しかし、いざ相続が発生すると、それぞれの状況や心情が変わっており、なにやら不穏な空気を感じます。
・最近体調がすぐれず、これからの生活に不安がある。
・遠隔地に住んでいるが、このまま何も手元に残らず縁が切れるのは嫌だ。
・夫の定年退職で収入が減った。
・老後の健康の為にものんびり畑でもやりたい。
財産の手続きに関しては次男に任せる、とは言うものの「財産はいらない」とは、ひとことも言いません。
要するに、相続人それぞれが財産(お金・土地)を欲しがっている。ということです。
法定相続人が財産をもらうことは当然の権利ですので、欲しがることに関しては何も反論は出来ません。
問題は、、、
遺産分割協議書を作成し、相続人全員が納得して実印と印鑑証明書を揃えてくれるような分割が出来るでしょうか。
例えば、全財産の評価額が3,200万円の場合、
4人で平等に分割すれば一人当たり800万円になります。
3,200万円のうち、自宅の評価額が2,000万円・預貯金600万円・畑の評価額が600万円だとしたら、800万円ずつ4人で分けるのは無理です。
そこで、自宅と仏壇を次男がそのまま継いで、畑と預貯金を他の三人で分けると、次男は2,000万円、他の三人は現金200万円、畑200万円分ずつ合計400万円ずつに分割することになります。
不足分(一人当たり400万円)は代償分割(次男が財産を相続する代わりに金銭などを他の相続人に与える方法)すると、
次男は他の三人に400万円ずつ合計1,200万円を与えることで平等な分割になります。
しかし、次男が代償分割として自分の預貯金から1,200万円を差し出すことは、年金生活者にとって大きな負担となり、今後の生活に支障をきたしかねません。
また、これで本当に平等な分割といえるでしょうか。
・身近で親の介護をしてきた次男と、遠隔地で数年に一度顔を合わすだけの次女。
・これから先、実家の修繕費や固定資産税を負担し、仏壇やお墓の維持管理、法要など、跡継ぎとして代々の家系を守っていく次男と、子供のいない長女。
法律だけでは割り切れない状況や気持ちがあります。
相続人同士のこれまでの関係や本音も大きく影響してきます。
はたして、初盆での集まりでどのような話し合いがされるのでしょうか。
お互いに気を遣いすぎて話し合いがほとんど出来なかった、なんていうことも良くあるみたいですが。。。
また、上記の例では平等に分割すると一人当たり800万円という計算になりましたが、、、
実は、違う角度から考えると、一人当たりの金額が変わってきます。
それについては、また次回書きたいと思います。
相続に関する問題・トラブルは年々増加しています。
決して他人ごとではないという事を、頭に入れておいたほうがいいかもしれませんね。